日本-西欧文化違いVer13. 「欧米の Bonus と日本の賞与は“まったく別物”である-part2」
- shigenoritanaka3
- 5月11日
- 読了時間: 4分
2026/05/11
お読みいただきありがとうございます。
前回の記事(日本-西欧文化違いVer12. 「欧米の Bonus と日本の賞与は“まったく別物”である」)では、 欧米型ボーナスと日本型ボーナスの構造的な違いについて解説しました。 本稿では、いくつかの追加ポイントを Q&A 形式で整理します。
■ 図:Western vs Japanese Bonus – 構造比較
※本図は説明用のイメージであり、記載の賞与月数はサンプル値です。

■ Q&A
Q. 日本企業は欧米型のボーナス制度を採用できるのか?
A. 技術的には可能です。ただし、ボーナス部分を月給に組み込むと、以下のコストが自動的に増加します。
社会保険料
退職金
残業単価
未消化有給休暇の買取額
その結果、固定費が上昇し、人件費を下げたい場合に解雇以外の選択肢がなくなります。 一方で、月給が高くなることは採用面では有利に働きます。
Q. なぜ日本企業は現在のボーナス制度を続けるのか?
A. 日本は長期雇用を重視してきた歴史があります。 COVID-19 のような不況時、欧米企業は人員削減を行いますが、日本企業はボーナスを減らすことで対応します。
これは、日本の労働法では 従業員の同意なく月給を下げることが基本的にできず、 さらに 「解雇の4要件」により解雇も実質的に強く制限されている ためです。
そのため、ボーナスを調整することが、雇用を維持しながら人件費をコントロールする唯一の現実的な手段となっています。
Q. 日本の従業員にとってのメリット・デメリットは?
メリット:
ボーナスには住民税が源泉徴収されない(給与にはされる)。
デメリット:
賞与月数は雇用契約上は保証されていない。 ただし日本の実務では、昨年実績の賞与月数を雇用契約書に明記する義務がある。 その数字を基に 賞与を含む理論年収 を記載し、 人材紹介エージェントフィーもこの理論年収で計算される。 しかし賞与月数自体は保証されていない。
月給が意図的に低く設定される。 例:年間賞与が 5 ヶ月の場合 年収 ÷(12 + 5)= 月給 → 退職金、残業単価、有給買取額が低くなる。
Q. EBITA が赤字の場合はどうなる?
A. 多くの日本企業は最低限のコミットメントとして一定額を支給しようとします。 しかし業績が極端に悪い場合は、その最低額すら支給されないこともあります。 その場合、従業員の不満が高まり離職につながることがあります。
Q. 最低支給額(コミットメント)はどう設定すべきか?
以下のような方法があります:
KPI 評価を 0–5 ではなく 1–5 にする
個人評価に関係なく 1〜1.5 ヶ月 を支給する
上記のハイブリッド
Q. 労働組合はどう関与する?
A. 労使交渉では 「何ヶ月分支給するか」 が最重要です。 しかし日本のメディアは「月数」を報じず、以下のように 金額(JPY) で報じます:
「夏季ボーナス平均 XXX,XXX 円」
「製造業平均 XXX,XXX 円」
従業員はこれを基準に自社と比較し、低いと離職につながります。 中途採用でも過去の賞与実績は重要です。 なお、役員報酬は欧米型に近い構造です。
Q. 個人の変動部分はどのように査定される?
A. ボーナス制度によりますが、実務的で効果的な方法は以下です:
個人ごとに KPI を設定し、1〜5 のスケールで評価
その個人スコアに 一人当たり EBITA 実績に基づく係数 を掛け合わせる
これにより:
会社の EBITA 実績に応じて総額を自動調整 できる
個人間の相対評価に基づき公平に配分 できる
財務規律と公平性を両立できる仕組みです。
■ 結論
日本のボーナス制度は「インセンティブ」ではなく、 会社と従業員のリスクシェアの仕組み に近いものです。 この構造を理解することで、日系企業と外資 HQ の誤解を防ぐことができます。
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