会計Ver15. 「日本の事業承継&相続税」
- Shigenori Tanaka

- 6月26日
- 読了時間: 4分
2026/06/26
お読みいただきありがとうございます。
今回は日本の事業承継及び相続税についてお話しします。
■ はじめに

日本の事業承継は、海外と比べても特殊です。
特に 相続税の高さ は世界的に見ても異例で、アジア圏の経営者にはほとんど理解されていません。
インドネシア、シンガポール、香港: 相続税ゼロ
日本:最高税率55%。
この差は、事業承継の設計そのものを根本から変えてしまいます。
そのため日本では、 「相続税対策をしないと三代で会社が潰れる」 と言われるほど、株式承継の設計が経営に直結します。
これができなければ、 M&Aでの身売り、あるいは廃業 という選択を迫られるケースも少なくありません。
もちろん、株式を上場するという“究極の対策”もありますが、多くの企業にとって実現は容易ではありません。
1. 日本の事業承継は“経営”と“株式”を分けて考えるべき
事業承継は本来、次の2つに分けて考える必要があります。
■ 経営の承継(後継者育成)
戦略企画・意思決定
財務・KPIの理解
組織マネジメント
取引先との関係構築
これは 3〜5年かけて育てる“人の問題” です。
■ 株式の承継(相続税・自社株評価)
自社株評価
相続・贈与税制
持株会社化
組織再編
こちらは 制度と数字の問題 で、構想が固まっている前提で専門家をいれば1年未満で設計可能です。
ただ両者は進むスピードが違うこと、 また後継者候補に資質が備わっていないと後から判明するリスクがあることから、同時進行はあまりお勧めできません。
2. 相続税対策で“会社を弱らせる”アプローチに注意
日本の相続税の高さにつけ込む形で、 会社の体力を削って株式評価額を下げる という手法を勧める税理士も存在します。
■ よくある問題のある手法
高額な保険を大量に契約させる
利益を圧縮し、意図的に欠損を作る
自己資本を極限まで減らす
太陽光発電など別商材を“節税商品”として売り込む
こうした税理士は、 保険代理店や太陽光発電の販売代理店を兼業しているケースが多く、 相続対策を名目に“ブローカーとしての利益”を狙っている ことがあります。
確かに、自己資本を減らせば相続税評価額は下がります。 しかしその代償として、
財務体質が弱くなる
銀行評価が下がる
設備投資ができなくなる
事業拡大のチャンスを失う
結果として 会社の存続そのものが危うくなる ことがあり、これでは本末転倒です。
3. 実際に起きたケース:親戚企業の事例
私の親戚の企業でも、まさにこのパターンが発生しました。
顧問税理士事務所の指示で保険を大量に契約
利益を圧縮し続け、会社が弱体化
経営者であった叔父が急逝
残された親族が不安になり葬儀の場で相談
私は状況を精査し、 “事業拡大を第一に考える税理士” とタッグを組んで再構築を行いました。
以下対応内容です:
不要な保険の整理
財務体質の立て直し
事業承継計画の再設計
顧問税理士との契約を破棄
経営と税務のバランスを回復
結果として会社は再び成長軌道に戻り、 “会社を弱らせない相続税対策”を実現できました。
4. 正しい相続税対策は“会社を強くしながら行う”

相続税対策の本質は、 会社を守ることであり、会社を弱らせることではありません。
正しいアプローチは次の通りです。
経営を強くする
利益を出す
株価を理解する
事業承継税制を活用する
必要に応じて持株会社化を検討する
つまり、 “会社を強くしながら相続税をコントロールする” これが本来の事業承継です。
5. 私が関わった別の事例
以前勤めていたオーナー企業でも事業承継及び相続税対策の問題が発生しました。
そこで私はオーナーの承諾を得て実態のある持ち株会社の設立を主導し、グループ経営統治を持たせるために、財務・HR・IT・マーケティング・新事業開発の機能をゼロから作り上げました。
これにより以下の結果を実現できました:
オーナー個人依存の経営から脱却
組織によるグループ統治へ移行
スムーズな後継者承継
リーマンショック時の一時的業績不振を逆利用した贈与税・相続税の大幅軽減
■ まとめ
日本の相続税は世界的に見ても異常に高い
事業承継は「経営」と「株式」を分けて考える
会社を弱らせる相続税対策は危険
正しい対策は“会社を強くしながら株式を承継する”
税理士選びは事業承継の成否を左右する
景気後退は相続のチャンス
■ お問い合わせ
事業承継・相続税対策・持株会社化・後継者育成など、 ご相談があればお気軽にご連絡ください。
会社を永続発展させながら相続の負担を軽減するお手伝いができると思います。
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