top of page

日本-西欧文化違いVer10. 「欧州HQはインフレ率で昇給率を決める。しかし日本は“実質昇給”を求められている」

  • shigenoritanaka3
  • 4月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:5月11日

            2026/04/20

お読みいただきありがとうございます。

今回は、外資系日本法人で毎年必ず議論になる「昇給率」のテーマについてお話しします。

 

欧州HQは国別に異なる昇給率(%)を提示してきますが、その根拠が不透明なことも多く、実態と合わないケースが日本では頻発しています。

 

🟦 日本は長いデフレを脱却し、インフレ国家に転じた

バブル崩壊以降、日本は長期にわたりデフレ傾向が続いてきました。 しかし 2022 年以降、物価は継続的に上昇し、日本は明確に インフレ国家 へと移行しました。

これに伴い、日本政府は 「実質賃金のプラス化」 を国家目標に掲げ、企業に対して

インフレ率を上回る昇給

を要請しています。

そして多くの日本企業は、 インフレ+α の昇給 を実現するために努力しています。

 

🟦 しかし欧州HQは“インフレ率=昇給率”という欧州的ロジックで日本を扱う

欧州では、物価上昇率(CPI)に合わせて賃金を上げる文化が根強くあります。 そのため HQ は IMF や Eurostat の インフレ率 を参照し、

「日本はインフレ2%だから昇給2%で十分」

というロジックで昇給率を決めてしまうことがあります。

しかし── 日本ではインフレ率と昇給率は一致しません。

 

🟦 日本には“市場昇給率(Salary Increase Budget)”という別の指標がある

日本の労働市場には、インフレ率とは別に 「市場平均昇給率」 という指標が存在します。

これは以下の機関が毎年発表しています:

  • Mercer

  • Willis Towers Watson

  • 日経

  • 労働政策研究所

 

多くの年で、

市場昇給率 > インフレ率

となっています。

 

つまり:

日本では「インフレ率=昇給率」ではない。 労働市場の競争力に合わせた昇給が必要です。

 

🟦 HQがインフレ率だけで昇給率を決めると何が起きるか

これは日本法人にとって深刻です。

  • 実質減給

  • 生活コスト上昇に追いつかない

  • モチベーション低下

  • 優秀人材の流出

  • 採用競争力の低下

  • 結果として日本法人の競争力が落ちる

 

つまり:

欧州HQの“公平性”は、日本にとって“不公平”になる。

 

🟦 求められるのは “Think Global, Act Local” の姿勢

大方針は Global で決める。 しかし 各論は Local と話し合って決める。

これが本来の Think Global, Act Local です。

日本の市場昇給率、生活コスト、採用競争力を理解しないまま 「インフレ率だけ」で昇給率を決めれば、 日本法人は確実に弱体化します。

欧州HQには、 ローカルの声を聞き、現地の市場データを尊重する“懐の深い経営” が求められています。

 

 

🟦 まとめ

  • 日本は長期デフレを脱却し、インフレ国家へ

  • 日本政府は「実質昇給」を企業に要請

  • 日本の市場昇給率はインフレ率より高いことが多い

  • 欧州HQがインフレ率だけで昇給率を決めると実質減給になる

  • モチベーション低下、人材流出、競争力低下につながる

  • 大方針はGlobal、各論はLocalで決めるべき

  • Think Global, Act Local が今こそ必要

 

 

🟦 お問い合わせはこちら

外資系日本法人の組織運営、文化差異マネジメント、人事制度に関するご相談は info@metricjapan.com までお気軽にお問い合わせください。

 

 

🟦 TAGS

 

最新記事

すべて表示
日本-西欧文化違いVer14. 「海外との共同開発で経験した“契約解釈”の文化差と力関係の現実」

2026/05/25 お読みいただきありがとうございます。 このシリーズでは、日本と欧米企業との文化差をテーマにしていますが、今回は 韓国企業との共同開発で得た日本での独占販売権が、US企業の後からの参入によって崩壊していった私の経験についてお話しします。 🔵 韓国企業との共同開発と、日本側が得た独占販売権 私があるグループ企業の経営統括兼、子会社の電子部品商社・EMS企業の社長を務めて

 
 
 

コメント


TOP | サービス | 会社概要 | お問い合わせ | English | Blog

bottom of page