日本-西欧文化違いVer06. _「日本の根回し文化は本当に悪いのか?」
- shigenoritanaka3
- 3月27日
- 読了時間: 5分
2026/03/27
皆さんご無沙汰しております。 メトリックジャパン株式会社の田中です。
先週の出張疲れで今週は少々回復に時間かかっております。
さて、前回の記事(日本-西欧文化違い_ver01. 「 “そういう訳で”文化とは? 日本と欧米の会議スタイルの違い」)では、日本の会議でよく見られる 「 “そういう訳で”文化」 について触れました。 雰囲気的に合意したように見えて、実は何も決まっていないー そんな場面が日本では起こりやすいように感じます。
では、この “そういう訳で” の背景には何があるのでしょうか。
① 「そういう訳で」には、日本人特有の“人間関係を壊さない配慮”がある
日本では、目先の物事を即決することよりも、 長期的に人間関係を壊さないことを重視する傾向 があるように思われます。
これは私の個人的な見方かもしれませんが、 日本人は相手の立場や感情に対して非常に繊細で、 “角を立てない” ことを大切にする文化がその根底にあるように感じます。
そのため、
その場で強く反対しない
会議では穏やかにまとめる
後で個別に調整する
といった行動が自然に選ばれやすいのだと思います。
② ただし、この文化が意思決定を遅らせてきた側面は否定できない
こうした配慮は日本の強みでもありますが、 意思決定のスピードを確実に遅らせてきた という側面もあります。
特に製造業では、 1990 年代後半以降の国際競争の激化において、 意思決定の遅さが競争力低下の一因になったことは否めません。
投資判断が遅れる
新製品の立ち上げが遅れる
海外企業のスピードに追いつけない
こうした現象は、当時の日本企業で広く見られたように思われます。
③ 根回し(Underground Work)は“事前リスク管理”として発達
日本企業では、会議で反対意見が出ることを避けたいという 組織文化があるように思われます。
そのため、会議前に関係者の温度感を揃える 根回し(Underground Work) が 自然と重要になってきたのではないでしょうか。
欧米の “会議で決めてから調整する” 文化とは対照的です。
④ 外資系日本子会社では、根回し不足がトラブルを生むことが多いように感じます
私の経験からで恐縮ですが、外資企業日本子会社では、根回しが不足すると次のようなことが 起きやすいように思われます。
現場が動かない
「聞いていない」勢力が後から反対する
会議で決めたはずの内容が実行されない
結果として、プロジェクトが遅れるリスクは確実に高まり、海外本社との対立構造が生まれます。
⑤ 一方で、海外本社にも構造的な問題がある
ここは非常に重要なポイントです。
海外本社が密室で決めた方針を、 前触れなく突然通達してくるケースは少なくありません。
因みに私はこれをいやというほど経験してきました。
組織変更
人員補充停止
予算カット
KPI の急な変更
製品ラインの撤退
こうしたトップダウンは、日本だけでなく 世界中の子会社で起きているように思われます。
ただ、日本では特に、 事前説明なしの通達は現場が動きにくくなる最大の要因 になり得ます。
日本側は「事前合意が必要」、 海外本社は「事前説明をしない」。 このギャップが、海外日本子会社のプロジェクトを 止めてしまう原因になっているのではないでしょうか。
⑥ PMO はなぜ必要になるのか
ここで初めて PMO(Project Management Office) が登場します。
PMO は、 海外本社と日本側の“意思決定プロセスの違い”を翻訳し、 プロジェクトを前に進める役割 を担います。
しかし、PMO を誰が担うのかは組織によって大きく異なります。
⑦ ではPMO を誰が担うのか?(In-house / Outsourcing)
A) In-house:日本法人社長や事業部長が PMO を兼務するケース
最も一般的なのは、 日本法人の社長や事業部長が PMO 的な役割を兼務する形 です。
ただし、現実には 忙しすぎて十分に機能しない ことも多いように思われます。
B) In-house:APAC 代表やリージョナルマネージャーが担うケース
広域視点はありますが、 日本市場の文化的背景を十分に理解していないことも多く、 翻訳の精度が落ちる という課題が生じやすいと感じます。
C) Outsourcing:外部 PMO を活用するケース
社内に適任者がいない場合、 外部の PMO コンサルタントに依頼する という選択肢もあります。
外部 PMO の利点としては:
中立的な立場で調整できる
海外本社と日本側の双方の文化を理解している
プロジェクト管理の専門性がある
社内政治に左右されにくい
特に、海外本社と日本側のギャップが大きい場合、 外部 PMO の方がむしろスムーズに進む ことも少なくありません。
⑧ 結論:根回しは“人間関係 × スピード”のバランス調整
根回しは単なる文化ではなく、 日本企業でプロジェクトを進めるための 実務的な工夫 と捉えることができると思います。そして PMO は、 海外本社と日本側の意思決定プロセスの違いを埋める “翻訳者”として不可欠な存在 です。
海外本社と日本子会社の双方がこの仕組みを理解することで、 日本側とのコミュニケーションが よりスムーズになる可能性があると感じています。
“そういう訳で”、今回は以上です。 また次のブログでお会いしましょう。
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