会計_Ver03. _「一品ものと量産ものでは原価計算の主役が違う- 工数ベース vs マシン時間ベース」
- Shigenori Tanaka

- 3月11日
- 読了時間: 4分
2026/03/11
どーもです。
本日は「業態によって原価計算の考え方は大きく変わる」というテーマでお話しします。
■ 一品もの(据付・建設・サービス)の原価計算
産業機器の据付・建設業・サービス案件は、プロジェクトごとに内容が異なる “一品もの” です。 この場合に適用されるのは 個別原価法 になります。
>> プロジェクトに直接紐づく費用
直接材料費
直接外注費
輸送費
旅費(ホテル代・移動費)
その他の直接経費
これらはすべて プロジェクトの直接原価 として投入します。
>> では「人工(にんく)」=労務費はどう扱うべきか
答えはシンプルです。
年間の 総製造原価(直接費を除く) ÷ 年間の直接操業時間数 = “労務アワーレート”
これを使って:”労務アワーレート“×プロジェクト投入工数=プロジェクト労務費
となります。
結果として、プロジェクト総原価=プロジェクト直接原価+プロジェクト労務費
という構造になります。
なお、ブログ Ver01「製造原価」で述べた通り、 期中は 標準アワーレート を使い、期末に経理が算出する 実際アワーレート に置き換える必要があります。
また、一品ものプロジェクトでは 追加原価 が発生しやすく、 顧客に付与する一年保証に備えて 引当原価 を計上することも重要です。
■ 量産もの(自動機・鋳造・加工)の原価計算
量産の場合、原価計算の考え方は大きく変わります。
自動機を使う製造では、価値を生む主役は 人ではなくマシンです。 人はマシンを支える “間接作業者” となるため、労務費の扱い方も変わります。
>> 例:2時間で1,000個の製品を製造するバッチ
直接材料費
直接外注費
以上バッチの直接原価については一品ものと同じです。
>> では労務費はどう扱うか
量産では、以下の式で マシンアワーレート を求めます。
年間の 総製造原価(直接費を除く) ÷ 年間のマシン稼働時間数 = “マシンアワーレート”
これを使って、バッチ労務費= “マシンアワーレート”×バッチ投入マシン稼働時間
と計算できます。
結果として、バッチ総原価=バッチ直接原価+バッチ労務費
という構造になります。
ちなみに期中は 標準マシンアワーレート を使い、期末に 実際マシンアワーレート に置き換えます。
■ 砂型鋳造の場合はどのマシン時間を使うべきか
答えは明確で、 製造の核となる自動機=注湯機の稼働時間 を使うべきです。
砂型鋳造では、実際に製品を作るのは 1,400度の溶湯を鋳型に注ぐ工程 であり、 ここが価値を生む中心だからです。
結果として、バッチトータル原価、製品一個当たりの原価は以下の通りとなります:
バッチ総製造原価=バッチ直接原価+ (注湯機アワーレート × 注湯機稼働時間(例:2時間))
製品原価=バッチ総製造原価÷製品数(1,000個)
■ 鋳造特有の問題:理論製造数 > 実際製造数
鋳造では、理論製造数(鋳型当たりの取り数 × 注湯数)より実際製造数が少なくなることが多いです。
主な理由は:
入れ干し不良(注湯不足)
その他不良品の除外
したがって、正確な製品原価を求めるには、 実際に良品として出荷可能な製品数 を使う必要があります。
■ まとめ
原価計算は 業態によって主役が変わる ため、 製造の実態に合わせて仕組みを設計することが重要です。
正確な原価をつかむことは、 正しい原価低減策の立案 正しい販売価格戦略の構築 につながります。
逆に原価を正しくつかめなければ…その先の経営判断はすべてブレてしまいます。
今回は以上です。 次回のブログもお楽しみに。
ご興味があれば、貴社の実データを見ながら最適な原価計算の仕組みを一緒に作ることもできます。
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