会計Ver10. 「投資採算分析は Contribution Margin(貢献利益)で行うべき」 ── Gross Margin(粗利)で判断すると必ず誤る
- shigenoritanaka3
- 4月22日
- 読了時間: 4分
2026/04/22
お読みいただきありがとうございます。
今回は、投資判断において多くの企業が陥っている 「GM(粗利)で採算を見る」という誤り についてお話しします。
🟦 GM(粗利)で投資採算を見ると、必ず誤る理由
結論から言うと、 GM は投資判断に使うべき利益ではありません。
なぜなら GM の COS (Cost of Sales=売上原価)には、
製造人件費
間接人件費
工場固定費
HQ 配賦
減価償却
といった 固定費が混ざっている からです。
このことは以下ブログに記載していますのでご参照ください:
🟦 GM を使うと何が起きるのか
GM を使うと、投資採算が次のように歪みます。
✔ 生産拡大投資の場合
GM を使うと リターンが必要以上に小さく見える。 GM の COS には固定費が混ざっているため、 投資によって変わらないコストまで「変動するコスト」と誤認され、 増産によるリターンが過小評価されます。
✔ 効率化・コスト削減投資の場合
GM を使うと COS=削減可能な原資が過大評価される。 本来は削減されないはずの人件費や固定費まで、 あたかも削減できるかのように見えてしまい、 誤った採算分析になります。
つまり GM を使うと、 増産投資でも効率化投資でも、どちらでも投資判断を誤る という結果になります。
🟦 投資採算分析は Contribution Margin(貢献利益)で行うべき
Contribution Margin(貢献利益)はこう定義されます:
売上 − Variable Cost(変動費)= Contribution Margin
ここで重要なのは:
Variable Cost は売上に比例して増減するコスト
人件費は投資で減らない限り固定費
CM は固定費カバーへの貢献度を示す利益
つまり:
投資によって変わる部分だけを捉え、 固定費カバーにどれだけ貢献するかを示す利益が CM。
🟦 図で理解する:固定費・変動費・損益分岐点と CM の関係
下図のように、固定費・変動費・損益分岐点の関係を理解すると、 なぜ GM ではなく CM を使うべきなのかが一目で分かります。

🟦【限界利益と貢献利益の違い】
1. 限界利益(Marginal Profit)
売上 − 直接材料費 − 直接外注加工費
= 変動費のうち “材料費・外注費という一部だけ” を控除した利益
固定費が混ざっていないのでGMよりはまし
しかし、投資によって変わる変動費の全体を捉えていないため、投資採算としては片手落ち
2. 貢献利益(Contribution Margin)
売上 − 原価に属する “すべての変動費”
具体例:
² 直接材料費
² 外注加工費
² 製造使用の消耗品費
² 使用量比例のエネルギー費
² 変動物流費
⇒ 投資によって変わる変動費全体をとらえているので、投資採算に適合
🟦 結論:GM を使うと投資判断は必ず誤る
GM は:
COSベースであり、そこには固定費が混ざっている
投資で変わらないコストまで含む
投資リターンを過小評価する(増産投資)
削減効果を過大評価する(効率化投資)
一方、CM は:
投資で変わる部分だけを捉える
固定費カバーへの貢献を示す
意思決定に必要な“純粋な利益貢献”を示す
だから:
投資採算分析は GM ではなく Contribution Margin(貢献利益)で行うべき
というのが結論となります。
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