経営・リーダーシップVer14. 「人事考課の本質:昇進考課と賞与査定は分けて設計すべき理由」
- Shigenori Tanaka

- 6月5日
- 読了時間: 4分
2026/06/05
お読みいただきありがとうございます。
今回は 「人事考課の本質」 についてまとめます。
多くの日本の中小企業では、昇進考課と賞与査定が同じ評価制度の中で扱われています。 しかし、この2つは 目的も時間軸もまったく異なる評価 であり、混ぜてしまうと組織は短期志向に偏り、長期的な成長が止まります。
本稿では、私自身の実務経験をもとに、 昇進考課(長期)と賞与査定(短期)を分けて設計すべき理由 を整理します。
■ 昇進考課と賞与査定は「目的」が違う
● 昇進考課(年1回)
長期的な視点で、
行動
思考
価値観
組織との整合性
将来の伸びしろ
を評価するものです。
● 賞与査定(年2回)
短期的な成果を評価するもので、
半期の会社EBITA
個人KPI達成度
を基準に、成果に対する褒章として支給するものです。
この2つを混ぜてしまうと、 “短期成果=昇進” という単純な判断 になりがちです。 短期成果はもちろん重要であり、それは賞与で正しく評価すべき領域です。
歴史的に見ても、武家社会(侍の時代)では 大きな功績(短期成果)に対して恩賞が与えられ、 さらに場合によっては地位向上(昇進)も与えられていました。

ただし、当時の昇進には
主従関係の維持
組織(家)の安定
長期的な忠誠心
といった “組織を託せるかどうか” の観点が必ず含まれていました。
現代の組織でも同じで、 短期成果だけで昇進を決めてしまうと、 組織文化や長期的な組織力が損なわれるリスク があります。
だからこそ、 短期成果(賞与)と、長期的適性(昇進)は分けて設計する必要がある ということです。
■ 昇進考課は「9マスMATRIX」で行うのが最も合理的
昇進考課は、 “行動・価値観 × スキルレベル” の2軸で構成するMATRIXに社員一人一人をあてはめてゆくのが効果的と考えられます。
横軸:会社文化/戦略への適合度(高 / 中 / 低)
縦軸:スキルレベル(高 / 中 / 低)
以下Metric Japan Promotion Priority Matrix(昇進優先順位マトリクス) は、社員の行動・価値観とスキルレベルの2軸で、昇進対象の優先順位を可視化したものです。

■ 色分けの定義
● ライム(1)
スキル 高 × 適合度 高
最優先の昇進候補。 スキルも価値観も一致しており、組織の中核を担う層。
● 緑(2・3)
スキル 中低 × 適合度 高
方向性・価値観が会社と合っており、組織にフィットしやすい。 スキルが伸びれば幹部候補。
ただし表面的なおべんちゃらをもって適合度高としないよう社員の実際の行動を見て判断することが重要。
● 薄いオレンジ(4)
スキル 高 × 適合度 中
スキルは申し分なし。 会社の方向性と行動思考が一致してくれば昇進対象。
● 薄いオレンジ(5・6)
スキル 中低 × 適合度 中
スキル・グループ 行動思考共に改善余地があるが、ポテンシャルを秘めている。
育成次第で 2・3・4 に上がる。
● オレンジ(7)
スキル 高 × 適合度 低
方向性は合っていないがスキルは貴重。
→ 専門家コース(Expert Track) で昇進検討。
● 赤(8・9)
スキル 中低 × 適合度 低
8:スキル 中 × 適合度 低
→ 厄介。価値観のズレが大きく、組織文化に悪影響を及ぼす可能性がある。
→ 改善すれば戻せるが、放置すると 9 に近づく。
9:スキル 低 × 適合度 低
→ 最悪のゾーンで組織文化を壊すリスクが最も高い。
→ 早期対処・改善・配置転換が必須。
■ 賞与査定は「短期成果」に特化すべき
日本企業には賞与制度があるため、 短期成果の褒章として賞与を機能させる のが最も合理的です。
評価軸は以下の2つ。
会社:半期の人頭EBITA(会社の成果)
個人:KPI達成度(個人の成果)
※ 日本の賞与制度の文化的背景は、以下の過去ブログ を参照ください:
■ 結論(まとめ)
昇進考課は 長期の視点で評価する
賞与査定は 短期の成果で評価する
昇進考課は 9マスMATRIX(行動 × スキル) が最も合理的
昇進優先順位は 1 → 2 → 3 → 4 →(専門家コース:7) → 5・6・8 → 9
賞与は 会社EBITA × 個人KPI で短期成果を正しく評価する
人事考課は人事部の仕事ではなく、経営そのもの
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