経営・リーダーシップVer11. 「優しさと厳しさは“前提条件”で変わる」
- shigenoritanaka3
- 4月28日
- 読了時間: 4分
2026/04/28
いつもお読みいただきありがとうございます。
今日は、私自身の経験をもとに、マネジメントにおける「優しさ」と「厳しさ」について、感じてきたことを整理してみたいと思います。主観的な部分も含まれますが、ご容赦いただければ幸いです。
■ はじめに
リーダーの「優しさ」と「厳しさ」は、しばしば単純化して語られがちです。
ただ、実際にさまざまな組織を見てきた中で、私はこれらには 対人面 と 待遇面 の2つの軸があるように感じています。
補足として、
ここでいう「対人面の優しさ・厳しさ」は、口調や態度そのものではなく、社員への関わり方や期待のかけ方を指しています。
この2軸の組み合わせが、社員の成長や定着、組織の安定性に影響している場面を多く見てきました。
その中でも、同じ企業グループでご一緒したあるリーダーのスタイルが、特に印象に残っています。
■ 対人面は優しいが、待遇は厳しい(A:構造型)
このリーダーは、対人面では非常に穏やかで、社員に不要なプレッシャーをかけることはありませんでした。
一方で、待遇面は控えめで、給与や福利厚生は決して手厚いとは言えませんでした。 ただ、この背景には、
「社員一人ひとりに大きな成長を求めない」という考え方があったのではないか
と感じています。
その結果として:
KPI は限定的で、一点集中
社員は得意な業務に専念し、強みを組み合わせて組織を構成
人数が多いためローテーションが可能
多能工化は自然に進む
成長は “副産物” として生まれる
こうした環境が整っていたこともあり、社員は混乱なく働け、定着率も高く、モチベーションも安定していたように見えました。
■ 対人面は厳しいが、待遇は優しい(B:育成型)
私自身のスタイルは、どちらかと言えばこの逆でした。 私は社員に成長を期待する傾向がありました。
そのため:
KPI は多面的で、成長や多能工化を前提に設計
コンフォートゾーンを超える挑戦を促す
担当範囲を広げることを重視
その一方で、待遇面ではできる限り配慮
このアプローチがうまく機能し、大きく成長した社員もいました。 ただ、負荷が高く、全員にとって最適な環境とは言えなかった場面もありました。
これは、「期待をかける育成型」 と言えるスタイルだったと思います。
■ Metric Japan HR Matrix:優しさと厳しさを2軸で整理する
経験を通じて、優しさと厳しさは 対人面 と 待遇面 の2軸で整理できるのではないかと考えるようになりました。
この2軸でマネジメントスタイルを整理したものが、私が提案している Metric Japan HR Matrix です。

A〜D の4タイプに整理できますが、 C と D は運用上の難しさが生じやすく、実務として成立しやすいのは A か B のように感じています。
■ マネジメントスタイルは「前提条件」に左右される
構造型(A)がうまく機能していた背景には、その会社が十分な人数を抱えていたことがあったように思います。
ローテーションが可能
強みを組み合わせられる
弱みを補完できる
部門間で専門性を共有できる
一方、私が経営していた会社は少人数で、ローテーションはほぼ不可能でした。
そのため、私は 育成型(B)を選ばざるを得なかった というのが正直なところです。
どちらが良い悪いではなく、 会社の規模や構造、必要な専門性といった “前提条件” によって、適したスタイルが変わる のだと思います。
■ 結論:A が理想でも、前提条件によっては B が最適になることもある
前提条件が揃えば、構造型(A)は効果的に機能する可能性があります。 固定費を抑えつつ、社員に過度な期待をかけずに成果を出せる場面もあるように思います。
ただ、すべての会社がこのスタイルを選べるわけではありません。
人数や専門性、ローテーションの可否といった条件が揃わない場合、 育成型(B)が現実的で、結果として最適になるケースもあると感じています。
とはいえ、育成型(B)でも:
KPI を広げすぎると負荷が高まる
全員に同じ成長を期待するのは難しい
社員はスキルも意欲も異なります。 広く・高い KPI を一律に課すと、過負荷や不満につながりやすくなります。
最終的には、 組織が置かれた前提条件に合わせて、優しさと厳しさのバランスを調整していくことが、安定と成長につながるのではないか と感じています。
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