経営・リーダーシップVer13. 「インフレ時代をどう生き抜くか」──鍵は価格転嫁。その前提は「原価の精度」
- shigenoritanaka3
- 5月16日
- 読了時間: 4分
2026/05/16
今回もお読みいただきありがとうございます。
本日はインフレ時代を企業としてどう生き抜くかにつきお話をさせていただきます。
■ はじめに
インフレが続く現在、企業は 価格転嫁できる会社 と できない会社 に完全に分かれています。 ここが生死の分岐点です。材料費・物流費・エネルギー・人件費。あらゆるコストが上昇する中で、 価格を上げられない会社は利益が消え、いずれ淘汰されます。
そもそも、 価格転嫁は欧米では当たり前ですが、日本では長年ご法度でした。 理由は単純で、欧米はインフレ、日本はデフレだったからです。
しかし今、日本もインフレに転じました。 つまり、日本企業も価格転嫁を避けては生き残れない時代に入った ということです。
■ 昔と今の交渉環境はまったく違います
l 昔: 顧客「値上げ? 無理。帰って」
下請け「……」
l 今: 顧客は 価格交渉に応じる義務 を持っています。 しかし、それは “値上げを認める義務” ではありません。
顧客は必ずこう言います。
「原価の内訳を見せてください。話はそこからです。」
ここで 正確なブレークダウンを出せない会社は、その瞬間に交渉が終わります。 つまり、価格転嫁の土俵にすら立てません。
■ 原価が曖昧な会社は、インフレ時代に生き残れません
顧客が求めるのは「概算原価」ではありません。
材料費
加工費
工数
間接費の配賦
歩留まり
ロットサイズ
工程別の実績
これら製品別原価詳細を 数字で説明できる会社だけが、価格転嫁を認められます。
逆に言えば、 原価を語れない会社は淘汰されます。
■ 価格転嫁の前提は「One Truth」です
価格転嫁を成立させるには、 客先が求める原価ブレークダウンを正確に提示できることが絶対条件です。
そのためには、 財務会計の集計値と製品別原価(管理会計)が “ひとつの数字(One Truth)” として合っていることが前提です。
数字が合っていない会社は、 どれだけ現場が努力しても、どれだけ管理会計を作り込んでも、 客先に提示する数字が信用されません。
■ 原価設定が誤っていれば、利益は必ず削られます
労務アワーレート、配賦基準、工程別工数、間接費の扱い── これらが誤っていれば、 製品別原価は必ず歪み、利益は確実に削られます。
「原価設定の誤りは、努力では補えない」 というのが現実です。
■ コントローラーは“社内に座っているだけ”では役割を果たせません
私は、コントローラーは 社長や営業と一緒に顧客の前に立ち、 原価の根拠を自分の口で説明できる存在であるべきだ と考えています。
さらに重要なのは、 営業や製造が現場で使っている製品別原価が正しいのか、コントローラー自身が確認することです。
現場では、 正しい管理会計の数字を使わず、 基幹システムから取った不十分・非正確な原価で見積を作ったり、 そのまま客先と折衝しているケースが少なくありません。
この状態では、 どれだけ価格転嫁を訴えても、 客先に数字の根拠を示すことができず、交渉が成立しません。
l 現場の実態を理解し
l 会計の数字を自分で説明し
l 顧客の質問にその場で答えられること
この三つをそろえられるかどうかが、 製品別原価の精度を決め、価格転嫁の成否を決めます。
つまり、 インフレ時代の企業の生存は、コントローラーの“前線に出る力”にかかっています。
■ まとめ
インフレ時代を生き抜く鍵は、価格転嫁の成否です。 そして価格転嫁の前提は、製品別原価の精度にあります。
1. 現場が使っている原価が正しいかをコントローラーが自ら確認すること
2. 財務会計と管理会計が一致していること(One Truth)
3. 原価設定が正しいこと
4. 社長や営業と共に顧客の前に立ち、数字を説明できること
この四つが揃って初めて、 企業は客先から「原価の内訳を見せてください」と言われた瞬間、 堂々と交渉のテーブルに座ることができます。
■ お問い合わせ
製品別原価計算の構築、原価の見える化、価格転嫁のための原価根拠づくりについてのご相談は info@metricjapan.com まで。
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