経営・リーダーシップVer15. 「脱中国の必要性と難しさ」
- Shigenori Tanaka

- 6月22日
- 読了時間: 4分
2026/06/22
お読みいただきありがとうございます。
今回は 脱中国の必要性が高まる一方で、実行が難しい理由について整理いたします。
製造業やサプライチェーンに関わる企業では、 ここ数年で「脱中国」という言葉を耳にする機会が増えているように感じます。
地政学的な不確実性、政策変更の可能性、 そして顧客側からの China+1 の要請など、 中国依存を見直す動きが広がりつつあるように見受けられます。
しかし、実際に移管を進められる企業はまだ多くない印象があります。 これは経営上の理由によるものと考えられます。
■ 脱中国が求められる背景
中国依存が高い場合、以下のようなリスクが指摘されることがあります。
突然の規制変更や輸出入制限の可能性
電子部品の製造工程が中国に集中していることによる供給リスク
顧客側の調達方針の変化
人件費上昇
技術流出リスクへの懸念
■ 多くの企業が動けない理由:サプライチェーンの強さとサンクコスト

中国のサプライチェーンは、 部材調達の近接性、工場密度、物流インフラ、量産立ち上げの速さなど、 総合力が非常に高いとされています。
加えて、企業は過去 20 年以上にわたり以下の投資を積み上げてきました。
工場・倉庫などの固定資産
設備・金型・治具
現地法人の組織構築
サプライヤー育成
人材育成
これらは撤退しても回収できないため、サンクコストが意思決定の大きな障壁となっています。
■ コスト面では、中国の優位性が依然として大きい
中国は、労働生産性、工場集積、サプライヤーネットワーク、物流効率などが組み合わさり、 総合的なコスト競争力が依然として高いとされています。
そのため、ASEAN や日本で同じコスト構造を再現することは容易ではありません。
この文脈で、中国と同等のコストメリットを持つ可能性がある国としてインドが注目されていますが、 インフラや品質面の課題から、全面移管には慎重な見方もあります。
■ SUZUKI をはじめ、中国から撤退・縮小した企業も存在する
例外的に 中国からの完全撤退を実現した企業 もあります。 SUZUKI はその代表例といえるかもしれません。
中国生産からの完全撤退
インド(Maruti Suzuki)への全面移管
日本・ASEAN との補完体制
また、家電・電子機器・自動車部品などの分野でも、 中国での生産を縮小し、ASEAN や日本へ移管した例が報じられています。
ただし、これらの企業は比較的早い段階から中国依存を抑えていたケースが多く、 同じアプローチをすぐに取れる企業は限られる と考えられます。
■ 大多数の企業にとっての現実は「依存度の調整」
多くの企業にとって、
中国への依存度が高い
部材・工程が中国に集中している
サンクコストが大きい
コスト面で代替が難しい
といった理由から、 短期間での完全撤退は現実的ではありません。
そのため、 “完全撤退”ではなく、“依存度を段階的に調整する” というアプローチが主流になりつつあります。
■ インドを最終的な選択肢としつつ、日本・ASEAN を橋渡し拠点に
最近の動きを見ていると、 多くのグローバル企業は 長期的にはインドへの本格移管を視野に入れている ように見受けられます。
ただし、インドがすぐに受け皿となるわけではないため、 日本と ASEAN が橋渡し拠点として再評価されています。
日本:品質・安定性・顧客距離・自動化投資
ASEAN:労働力・コスト・地理的分散
この二極体制でしのぎながら、 インドの成熟を待つ企業が増えている印象です。
■ まとめ
脱中国という言葉は強く聞こえますが、 実際には “完全撤退”を意味する企業は限られており、 大多数の企業にとっては“依存度の調整”が現実的なアプローチ という印象があります。
SUZUKI のように完全撤退を実現した企業もある
多くの企業は段階的な依存度調整が中心
日本・ASEAN を活用しながら、長期的にはインドを視野に入れる動きもある
こうした複数の選択肢を組み合わせながら、 自社にとって最適な生産配置を再構築していくことが求められていると感じます。
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脱中国や生産拠点の再配置について、自社の状況に合わせてどのように整理・検討を進めるべきか、個別のご相談が必要な場合には、下記までご連絡いただければ幸いです。
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